社会心理学中級

根本的な帰属の誤りと恋愛

Fundamental Attribution Error

他者の行動を状況要因ではなく性格や内的特性に帰属しやすい認知バイアス

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4コマまんがで理解する「根本的な帰属の誤り

根本的な帰属の誤りを恋愛シーンで解説する4コマまんが
Ross, L.

定義

他者の行動を説明する際に、行動の原因を状況的・環境的要因よりも個人の性格・能力・意図といった内的要因に過大に帰属する認知的傾向。対応バイアスとも呼ばれる。

メカニズム

人間の認知処理は2段階で行われる(Gilbert, 1989)。第1段階は自動的で、行動を観察すると即座にその行動と対応する内的特性を推論する(対応推論)。第2段階は意識的な努力を要し、状況要因を考慮して最初の帰属を修正する。しかし、認知的負荷が高い場合や注意資源が限られている場合、第2段階の修正が不十分になり、内的帰属が過大になる。また、行為者と観察者では注意の焦点が異なる(Jones & Nisbett, 1972)。観察者は行為者の行動に注目するが、行為者自身は状況に注目するため、帰属に非対称性が生じる。

代表的な実験

エッセイ帰属実験

1967

Jones, E.E. & Harris, V.A.

手続き: 被験者に、カストロ賛成またはカストロ反対のエッセイを読ませた。一方の条件ではエッセイのテーマが自由選択、他方ではテーマが指定されたと伝えた
結果: テーマが指定された(つまり書き手の本心とは無関係な)条件でも、被験者はカストロ賛成のエッセイを書いた人をカストロ支持者だと帰属した。状況の制約を十分に考慮できなかった

Journal of Experimental Social Psychology

クイズショー実験

1977

Ross, L.D., Amabile, T.M., & Steinmetz, J.L.

手続き: ランダムに質問者と回答者の役割を割り当て、質問者が自分の得意分野から難問を出した。観察者に質問者と回答者の知識レベルを評価させた
結果: 観察者は質問者を回答者より有意に知的だと評価した。質問者が問題を作るという有利な状況にいることを十分に割り引けなかった

Journal of Experimental Social Psychology

エビデンスの強さ

Malle (2006) のメタ分析では、行為者-観察者間の帰属の非対称性は従来考えられていたほど大きくないが、ネガティブな行動に対しては内的帰属バイアスが一貫して観察される。Krull (2001) のレビューでは、認知的負荷条件での基本的帰属の誤りの効果が顕著であることが確認されている。

恋愛での活用パターン

パートナーの遅刻やドタキャン

「何かあった?大丈夫?」と状況を尋ねることから始める

内的帰属(ルーズな性格)ではなく状況要因を確認することで、不必要な対立を回避する

LINEの返信が遅い

「忙しかったのかな」と一旦状況帰属で解釈する

即座に「自分に興味がない」と内的帰属すると、不安に基づいた行動が関係を悪化させる

意見の衝突

「あなたはこういう性格だから」ではなく「この状況でこう感じた」と状況に焦点を当てて話す

性格批判は相手の防衛反応を引き起こし、問題解決を困難にする

やりがちな間違い

パートナーの失敗

「あなたはいつもそう」「やっぱりそういう人だよね」と性格にラベリングする

帰属の誤りの典型例。性格ラベリングは相手の自尊心を攻撃し、関係を破壊する

相手の行動への不満

状況を一切考慮せず、行動=本性だと即断する

帰属バイアスに無自覚だと、パートナーへの不公平な評価が蓄積して関係が悪化する

マッチングアプリ

最初のメッセージの印象だけで相手の性格を決めつける

テキストコミュニケーションでは状況情報が欠如しているため、帰属の誤りが特に起きやすい

適用の限界

行為者自身は自分の行動を状況に帰属しやすく、バイアスの方向が逆転する(行為者-観察者非対称性)。集団主義文化(東アジア等)では状況帰属が相対的に多く、基本的帰属の誤りの程度は文化によって異なる(Choi et al., 1999)。また、行動がネガティブな場合にバイアスが特に強くなり、ポジティブな行動では弱まる。十分な時間と動機があれば修正が可能。

参考文献 (2件)
  • Ross, L. (1977). The intuitive psychologist and his shortcomings: Distortions in the attribution process. Advances in Experimental Social Psychology.
  • Jones, E.E. & Davis, K.E. (1965). From acts to dispositions: The attribution process in person perception. Advances in Experimental Social Psychology.

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