根本的な帰属の誤りと恋愛
Fundamental Attribution Error
他者の行動を状況要因ではなく性格や内的特性に帰属しやすい認知バイアス
4コマまんがで理解する「根本的な帰属の誤り」

定義
他者の行動を説明する際に、行動の原因を状況的・環境的要因よりも個人の性格・能力・意図といった内的要因に過大に帰属する認知的傾向。対応バイアスとも呼ばれる。
メカニズム
人間の認知処理は2段階で行われる(Gilbert, 1989)。第1段階は自動的で、行動を観察すると即座にその行動と対応する内的特性を推論する(対応推論)。第2段階は意識的な努力を要し、状況要因を考慮して最初の帰属を修正する。しかし、認知的負荷が高い場合や注意資源が限られている場合、第2段階の修正が不十分になり、内的帰属が過大になる。また、行為者と観察者では注意の焦点が異なる(Jones & Nisbett, 1972)。観察者は行為者の行動に注目するが、行為者自身は状況に注目するため、帰属に非対称性が生じる。
代表的な実験
エッセイ帰属実験
手続き: 被験者に、カストロ賛成またはカストロ反対のエッセイを読ませた。一方の条件ではエッセイのテーマが自由選択、他方ではテーマが指定されたと伝えた
結果: テーマが指定された(つまり書き手の本心とは無関係な)条件でも、被験者はカストロ賛成のエッセイを書いた人をカストロ支持者だと帰属した。状況の制約を十分に考慮できなかった
Journal of Experimental Social Psychology
クイズショー実験
手続き: ランダムに質問者と回答者の役割を割り当て、質問者が自分の得意分野から難問を出した。観察者に質問者と回答者の知識レベルを評価させた
結果: 観察者は質問者を回答者より有意に知的だと評価した。質問者が問題を作るという有利な状況にいることを十分に割り引けなかった
Journal of Experimental Social Psychology
エビデンスの強さ
Malle (2006) のメタ分析では、行為者-観察者間の帰属の非対称性は従来考えられていたほど大きくないが、ネガティブな行動に対しては内的帰属バイアスが一貫して観察される。Krull (2001) のレビューでは、認知的負荷条件での基本的帰属の誤りの効果が顕著であることが確認されている。
恋愛での活用パターン
パートナーの遅刻やドタキャン
「何かあった?大丈夫?」と状況を尋ねることから始める
LINEの返信が遅い
「忙しかったのかな」と一旦状況帰属で解釈する
意見の衝突
「あなたはこういう性格だから」ではなく「この状況でこう感じた」と状況に焦点を当てて話す
やりがちな間違い
パートナーの失敗
「あなたはいつもそう」「やっぱりそういう人だよね」と性格にラベリングする
相手の行動への不満
状況を一切考慮せず、行動=本性だと即断する
マッチングアプリ
最初のメッセージの印象だけで相手の性格を決めつける
適用の限界
行為者自身は自分の行動を状況に帰属しやすく、バイアスの方向が逆転する(行為者-観察者非対称性)。集団主義文化(東アジア等)では状況帰属が相対的に多く、基本的帰属の誤りの程度は文化によって異なる(Choi et al., 1999)。また、行動がネガティブな場合にバイアスが特に強くなり、ポジティブな行動では弱まる。十分な時間と動機があれば修正が可能。
参考文献 (2件)
- Ross, L. (1977). The intuitive psychologist and his shortcomings: Distortions in the attribution process. Advances in Experimental Social Psychology.
- Jones, E.E. & Davis, K.E. (1965). From acts to dispositions: The attribution process in person perception. Advances in Experimental Social Psychology.
この理論をあなたの状況に当てはめてみよう
無料で恋愛相談する