公平理論と恋愛
Equity Theory
関係における投入と報酬の比率が両者間で公平であるとき、関係満足度が最大化されるという理論
4コマまんがで理解する「公平理論」

定義
対人関係において、各当事者の投入(Input)と報酬(Outcome)の比率が両者間で均衡していると知覚されるとき関係満足度が最大化され、不均衡は苦痛と関係不安定化を引き起こすとする理論。
メカニズム
代表的な実験
恋愛関係における公平性と満足度の調査
Compatible and Incompatible Relationships, Springer, 165-178
新婚カップルの公平性と関係安定性の縦断研究
Journal of Social and Personal Relationships, 1(1), 61-75
エビデンスの強さ
Sprecher (2001) の縦断研究では、不公平感と関係満足度の相関は r = -.30〜-.45。Hatfield et al. (1985) では公平条件と不公平条件の満足度差は大きく(d = 0.6-0.8)。過少報酬の不満は過大報酬の不快の約2倍の強度であることが一貫して報告されている。
恋愛での活用パターン
不満が蓄積する前の対話
「最近、私ばかりが○○している気がする」と感情が小さいうちにI-メッセージで伝え、投入と報酬のバランスについて話し合う
見えない投入の可視化
家事だけでなく感情労働(相手の話を聞く、家族との調整等)も含めて、互いの「投入リスト」を共有する
ライフイベント時の再交渉
転職・出産・介護等で投入バランスが変わったとき、「一時的に私が多く負担するけど、落ち着いたら調整しよう」と明示的に合意する
やりがちな間違い
投入の帳簿づけ
「私はこれだけやった、あなたはこれだけ」と日常的に損得を計算し続ける
過少報酬の報復
「あなたが○○してくれないなら私も○○しない」と報復的に投入を減らす
無条件の自己犠牲
「愛しているから」と自分の不満や疲労を無視して一方的に尽くし続ける
適用の限界
親密さが高い長期関係では、短期的な不公平への耐性が高まる(「今は彼が大変だからサポートする」という共同的規範が作用)。ただし慢性的な不公平は親密な関係でも蓄積する。文化差があり、集団主義文化では「ニーズに基づく分配」、個人主義文化では「貢献に基づく分配」が公平と知覚されやすい。性別によっても公平の計算基準が異なり、家事労働の「見える化」度合いが公平知覚に影響する。
参考文献 (2件)
- Walster, E., Walster, G.W., & Berscheid, E. (1978). Equity: Theory and Research. Allyn and Bacon.
- Hatfield, E., Traupmann, J., Sprecher, S., Utne, M., & Hay, J. (1985). Equity and intimate relations: Recent research. Compatible and Incompatible Relationships, Springer.
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